フランス東部ジュラ地方に近いディジョン在住のワイン研究家 菅沼はるみ様より、リュネット・ジュラの原点であるフランスの様々な楽しい情報をお届けして参ります。
今回は第四弾。
フランス北部ロレーヌ地方のナンシーをご紹介します。
フランス北部のドイツに近いロレーヌ地方のナンシーは、19世紀末から20世紀初めにかけ、アール・ヌーボーが花開いた街として知られています。
アール・ヌーボーの特徴は、植物などの自然を思わせる、優雅な曲線美。
ワイン好きな方であれば、ペリエ・ジュエ社のシャンパーニュ「ベル・エポック」の華やかなボトルを思い起こすでしょう。
ナンシーでは、いたるところでアール・ヌーボー建築を見ることができます。
散歩するだけでとても楽しい街です。
街の中心部には、フランス国王ルイ15世の義父であり、旧ポーランド王で一代限りのロレーヌ公だったスタニスラフが、国王をたたえる為につくったというスタニスラフ広場があります。
1983年に、ユネスコ世界遺産に登録されました。
ロココ様式の金色に輝く装飾門に囲まれた豪華絢爛なこの広場には、カフェやレストランのテラス席が並び、優雅なひとときを過ごす人達で賑わっています。
ロレーヌ地方のスペシャリテというと、まずはキッシュ・ロレーヌ。
卵、生クリーム、ベーコン、チーズなどが入ったキッシュです。
元々はこのロレーヌ地方の郷土料理でしたが、今では、フランス全土の定番料理となっています。ここナンシーのマルシェでは、さまざまなキッシュ類が並んでいます。
甘いものでは、ベルガモット・ド・ナンシーというキャンディーがあります。
ベルガモットは、南イタリアのカラブリア州を原産とする柑橘類です。
紅茶アールグレイの香りづけに使われていることでご存知の方も多いのではないでしょうか。
黄金色のつややかで四角いこのキャンディー、アールグレイの深みのある香りがふわりと広がります。
アールグレイティーがお好きな方に、お勧めです。
マカロン・ド・ナンシーもナンシーのスペシャリテです。
マカロンというと、中にクリームが挟まれたカラフルでかわいらしいお菓子をイメージしますが、マカロン・ド・ナンシーはクリームがなく、とても素朴。
紙のシートに載せて焼きあげたままの形で売られています。
ナンシーの老舗「メゾン・デ・スール・マカロン」では、厳選した南仏産アーモンドを使い、フランス革命前から変わらぬレシピで作り続けているのだとか。
歴史と伝統を感じさせるお菓子です。
果物のミラベルもこのロレーヌ地方の特産品。8月になるとマルシェに並び始めます。
次回は、フランスの夏の美味しいものをお伝えします。