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【フランスたより】 Vol.9#天然素材のめがね「LUCAS de STAЁL」について

フランス東部ジュラ地方に近いディジョン在住のワイン研究家  菅沼はるみ様より、リュネット・ジュラの原点であるフランスの様々な楽しい情報をお届けして参ります。

 

 

今回は第9弾。

 

グラン店にて23日(木)から開催されるイベント「天然素材のめがね展」にて展示販売される

 

「LUCAS de STAЁL(ルーカス ド スタール)」。

 

今回はこちらのお話をフランスからお届けします。

 

 


 

 

 

 

その人を初めて見たのは、2013年8月のこと。

 

フランスの国営テレビで、才能あふれる新進メガネデザイナーとして紹介されていました。

彼は、パリのアトリエで、革のメガネづくりについて熱く語っていました。

彼がつくり出すメガネはもちろんのこと、なぜか彼自身にも惹きつけられてしまいました。

その時かけていた、上部が白いフレームのメガネは、彼の知的な部分を見事に引き出していて、当然のことながらよく似合っていました。

 

 

なぜ、私はこの人がこんなに気になるんだろう。

 

 

最後にデザイナーの名前がでた時、その理由がわかりました。

 

 

彼の名は、ルカ・ド・スタール。

私が大好きな画家、ニコラ・ド・スタールの孫だったのです。

 

 

 

 

 

ニコラ・ド・スタールは、ロシア名門貴族の息子として生まれ、幼い時にロシア革命で亡命、南仏コート・ダジュールのアンティーブにアトリエを構えました。

 

 

成功の最中、41歳でその生涯を終えるまでに、多くの作品を残しています。

1993年(H5)には、東京、鎌倉、広島で展覧会が開催されたので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 

地中海を見下ろすアンティーブのピカソ美術館は彼の作品を多数所蔵しており、訪れるたび、私の心に響きます。

鮮やかな色使いと無駄がそぎ落とされた大胆な構図。彼の作品はいずれも端正で、気品が感じられます。

 

 

 

あの画家ニコラ・ド・スタールの孫がメガネデザイナーだなんて。

 

 

彼は2012年(H24)、パリ国際メガネ展示会「シルモ」のメガネフレーム部門で、グランプリ、シルモドールを受賞しました。

くるみの木と特殊な鋼を組み合わせた、このメガネです。

洗練されたデザイン、軽さ、そして技術面で、非常に高く評価され、ルカ・ド・スタールは世界のメガネ界に新風を吹き込みました。

 

 

 

 

いつの日か、ルカ・ド・スタールに会ってみたい。

そして彼のメガネを見てみたい。

 

 

その願いは、それから2年後に叶いました。2015年(H27)の「シルモ」で、彼に会うことができたのです。

 

 

 

石、革、木といった天然素材から、最新技術を駆使してつくったメガネってどのようなものなのだろう。

石のメガネだなんて、奇をてらってはいるけど、重そうだし、実際はどうなんだろう。

そう思っていました。

しかし、実物を見て、彼のつくり出すメガネに、魅了されました。

石のメガネは、驚くほど軽く、金属部分はとてもしなやか。

色合いはいずれも上品で、顔によく馴染みます。

革のメガネからは、なんとも言えない暖かみが感じられます。

 

 

 

天然素材を使ったメガネをいろいろ見ているうちに、ある共通点を見つけました。

それは、「気品」。

彼のメガネからは、いずれも、気品、知的、洗練、上質、という言葉が連想されました。

 

 

 

 

 

ルカ・ド・スタールに「次は、どのような天然素材のメガネを出すのでしょうか。」と質問してみました。

「南米で、きれいな藁を見つけたんです。金色でとても美しいんです。でも、その国から輸出ができないかもしれない。」

「藁!?では、来年の新作は藁メガネですか。」と聞くと、

「それはないなぁ。」

 

 

次に彼が取り出したのは、たくさんの白い小さな包み紙。

それをひとつずつ開けて見せ始めました。

その時の彼の目は、まるで、秘密の宝物を見せる子供のように、きっらきら。

 

 

包み紙の中には、糸を丸めたようなものが入っていました。

グリーンがかった茶色の糸、薄茶色の糸、藁色の糸など、

「これじゃない。これでもない。」と、次々包み紙を開けていき、

最後に「これだ!」と満足そうに見せてくれたのは、透明感がありながら、きらきら輝く黄金の糸ひと巻き。

本当に美しいものでした。

 

 

うれしそうな顔で「何だと思いますか?」

それは、インド洋の島で見つけたという、蜘蛛の糸でした。

「これは子供の蜘蛛、こっちは大人の蜘蛛。それで、この最も美しい糸は、年を取った蜘蛛の糸。」

「では、来年の新作は、蜘蛛の糸メガネですね。」と言うと、

「いやぁ、それもないなぁ。」と彼。

 

 

 

 

この人には、普通の人が見逃してしまうような、自然の中の美しいものを見出す力があります。

話をしてみて、ステレオタイプかもしれませんが、彼には芸術家だった祖父ニコラ・ド・スタールの血が流れていることを確信しました。

 

 

最新技術と天然素材を融合させるのみならず、それを芸術作品にまで昇華させたルカ・ド・スタール。

次は、どういう素材にチャレンジするのでしょうか。

彼の今後がとても楽しみです。

 

 

ルカ・ド・スタールのメガネは、リュネット・ジュラ青山グラン店で展示されます。

 

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