フランス東部ジュラ地方に近いディジョン在住のワイン研究家 菅沼はるみ様より、リュネット・ジュラの原点であるフランスの様々な楽しい情報をお届けして参ります。
今回は第10弾。
フランスのクリスマスと年末年始についてのお話です。
クリスマス、それはフランス人にとって一年で最も大事な日。
12月が近づくと、フランスの街は、クリスマスイルミネーションで輝き始めます。
ここディジョンでは、12月最初の週末に、イルミネーション点灯式が開催されました。
屋外の特設スケートリンクでは、オープニングイベントとして、アイススケート元世界チャンピオンのブライアン・ジュベールが登場。
気温零下で凍てつく中、華麗な舞を披露し、集まった人達のハートを鷲掴みにしました。
彼は、フランスで今もなお、絶大なる人気を誇ります。

イルミネーションで煌めく街は、とても幻想的。
ブルゴーニュ独特の、霧が立ち込める日などは、まるで、おとぎ話の世界に迷い込んだかのようです。
広場にはさまざまなアトラクションが設置され、にぎわっています。


かわいらしいフクロウのイルミネーションを見つけました。
フクロウは、ディジョン市のシンボルです。
ノートルダム教会の外壁にあるフクロウの彫刻を左手でなでながら、願い事をすると、願い事が叶うと言われています。

ずらりと立ち並んだマルシェ・ド・ノエル(クリスマスマーケット)を見るのも、楽しいものです。
食べ物から地方特産品、工芸品までさまざまなものが並んでいますが、一番人気はヴァン・ショー(ホットワイン)。
スパイスが効いていて、身体がぽっかぽかになります。
寒さを吹き飛ばす為に、チーズをたっぷり使ったボリューム満点料理も大人気です。
この時期のパリ・シャンゼリゼは、美しいイルミネーションとマルシェ・ド・ノエルで、とても華やかです。
しかし、パリ市は「売られているものの質が悪く、パリのイメージを損ねる。」として、今年シャンゼリゼでのマルシェ・ド・ノエルを中止にしました。
長年、シャンゼリゼのマルシェ・ド・ノエルを取り仕切っていた人は、これを不服として裁判所に訴えましたが、11月16日に却下されました。
クリスマスに欠かせないクリスマスツリー。
フランスの家庭では、生のモミの木を使います。
スーパーマーケットや朝市では特設会場が設けられ、大小さまざまなモミの木が、所狭しと並びます。
ブルゴーニュには、フランスを代表するモミの木産地「モルヴァンの森」があり、モルヴァン産のものが主流となっています。
クリスマスには、遠く離れて暮らす家族が集まり、共に祝う習慣があります。
その時に欠かせないのは、プレゼント。
子どもだけでなく大人のものも含め、全員分用意し、皆でプレゼント交換をします。
12月に入ると、クリスマスプレゼント探しの人達で、どのお店も大混雑です。
20日過ぎになると、皆さんもう必死。
24日閉店間近のお店で、店員さんに、「プレゼント探しに疲れ果ててしまいました。私の代わりに選んでもらえないでしょうか。」と頼んでいる人を見かけたことがあります。
クリスマスには、皆でごちそうを食べます。
オードブルにフォアグラ、エスカルゴ、スモークサーモン、生牡蠣など。
メインは鶏料理。
そしてデザートへと続きます。
伝統的なクリスマスケーキは、切り株の形をしたブッシュ・ド・ノエル。もちろん、美味しいシャンパーニュとワインも欠かせません。
25日クリスマスは祝日。
レストラン含め、ほぼ全てのお店は閉まり、街は静まり返っています。
日本では、25日が過ぎたら街はお正月の装いになりますが、フランスではクリスマスデコレーションは年明けまでそのままです。
年明けにサンタクロースだなんて、いまだに慣れませんが・・・。
クリスマスを家族と過ごし、大晦日は友人達と年越しパーティーをするのが一般的。
日付が変わる頃、日本は除夜の鐘で厳かな雰囲気になりますが、こちらでは、花火が打ち上げられ、車はクラクションを鳴らし、テレビではフレンチカンカン、とにぎやかです。
年末年始を南仏コートダジュールで過ごした時のこと。
地中海から昇る、初日の出を見に行きました。
さぞかし大勢の人が集まるのだろうと思っていましたが、元旦の朝のコートダジュールには誰もいませんでした。
元旦に、早起きする人は少ないようです。
「一年の計は元旦にあり」は、フランスでは通用しないのかもしれません。
ちなみに、新年のご挨拶、フランスでは1月第3週までOKです。
皆様、楽しいクリスマス、そしてお正月をお迎えください。